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イモカワユウさん

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第13回・イモカワユウさんに聞きたい

イモカワユウさんの事務所に通されると、まずカラフルな家具と大きなカーテンに目がいきます。出していただいた紅茶のティーカップも、ポップな美しいデザインです。外国に来たみたいですね。よろしくお願いします。
カウント カウント
イモカワユウ・作/絵
おはなし絵本クラブオリジナル
 

【デザイナーとしての経歴】
千木良:まず、イモカワさんがデザイナーになった経緯をお聞きしようと思うんですが。
イモカワ:上京して、上野宏介さん――今はアモーレ宏介さんという画家なんですが、その人の壁画を見たんです。表参道のパノラマ美容室の壁なんですけど、「カッコいい絵だなあ、こういう仕事をしている人がいるんだな」と思ってて。その数年後、たまたまカチャトラっていうレストランに連れていかれて、そこで紹介されたのが、上野さんご本人だった。僕はイラストレーターの名前って全然興味がなくて、覚えてなかったんですけど、その店の壁にも絵があって、「あ! この絵!」って。
上野さんはミュージシャンでレコードを回していて、初めはそのアシスタントでDJとして一緒に活動してたんですけど、そのうち僕も、会社をやめてイラストをやるようになったんです。

千木良:絵を描こうとされてたんですか? デザインではなくて?
イモカワ:テキスタイル(布地)のグラフィックがすごくやりたかったんですが、今のようにデザイン自体が認知されていなかったから、どうしたらいいのか全然わからない。とりあえず、イラストを描いていればどうにかなるんじゃないかと思ってました。
ポストカードを作ったり、雑貨を作ったりしてるうちに、「会社のロゴをつくってみない?」とか声がかかり出して、気がついたらデザインとイラストがミックスされていました。

千木良:(ポストカードを見せてもらう)あ、LOFTの広告用もあるんですね。おしゃれ!
イモカワ:途中で、ユーヴォというキャラクターができて、お陰で人生が波乱に富んだものに…作ることと売れることとの葛藤が…。
千木良:このキャラ、見たことある!
イモカワ:ユーヴォというキャラを、僕は単にデザインの柄のひとつとして作ったんですが、動かしてくれ、とかキャラクター化した商品を作ってほしいとか、どんどん要望が出てきまして。今は僕の手を離れて、会社がぜんぶ作ってるんです。
千木良:なるほど。今、イモカワさんのほうでやってらっしゃる仕事は主にどんなものですか?
イモカワ:多いのは、CDジャケットと広告かな。カタログのカットとか雑誌の表紙とか。イラストとして頼まれてるものと、デザインと、混ぜこぜですね。マルチメディアクリエイター(笑)、ハイパーマルチクリエイター(笑)かな? LAUNDRYという洋服屋さんのTシャツも手掛けています。

イモカワユウさん


イモカワユウさん 【『カウント』について】
千木良:『カウント』の話を聞かせてください。絵本を作ることになったきっかけは?
イモカワ:ずっとあたためていた犬やクマのキャラクターがいて、これを動かしたいのだけど、僕にはお話は作れない。プロデューサーに、「ストーリーじゃなく、知育的なものにしてみたら?」とアドバイスをもらい、数を数える絵本に決まりました。
千木良:なるほど。キャラクターに動きをつけるってどういうイメージですか?
イモカワ:Flashが出てきたとき、今、どこでにでもあるハイパーなアニメじゃなく、パラパラアニメのような表現、僕らが子供の頃に見たような昭和っぽい映像ができるんじゃないかと思ったんです。そういうのって、当時は何十人もで何週間もかけて作ったけれど今なら数人で作れる。子供の頃にやってみたかった表現が今ならできる。だからやりたかった!

大人が「子供ってこんなものだろ」と言って作るようなものじゃなく、スタイリッシュさ。例えばクマのシーンなら、緑が生えてきて、色が変わって、「あれ、これって春夏秋冬じゃない?」。お母さんグマのお腹がふくれて、子供が生まれる。その経緯を映像として、テクノポップに合わせて流す。見ていくことで、じわじわ、分かっていく。今の商品って、答えがありすぎて考える隙がないと思うんです。初めは「なんじゃこりゃ?」でいい。そういう自分の考えをプロデューサーにぶつけて、わかってもらいながら、受け手の立場に立ってみて誤解しやすい部分をなおしていく、という作業でした。

千木良:できあがってみて、どうでしたか?
イモカワ:それは、嬉しかったですよ。みんなヘトヘトになった頃、音がのって、一気に映像が命を持って。作ってる自分たちが鳥肌が立って、拍手が起こったくらいですから(笑)



【安易なチョイスをしていないか?】
千木良:Tシャツもデザインされていますが、お母さんと子供のファッションをどう思いますか?
イモカワ:OL時代にオシャレに気を遣っていた女性が、結婚して子供が生まれたら、子供にキャラクターグッズのトレーナーを着せて、同じのを自分でも着てたりするでしょう? 同じものを着る、共有するという気持ちは、すごく分かるんです。でも、センスという点から考えたとき、どうなのかな?
例えば、親子でこのCDジャケットの映像を見たとする(青空の下に犬がいる、イモカワさんのデザインしたCDジャケット)。そしたらお母さんはこの空の柄のワンピースを買って……。

千木良:子供には、犬?
イモカワ:そう、子供には犬の絵の入ってるTシャツを買ってあげれば、親子で一緒に見た映像を共有できますよね。メーカー側は、現実の家庭生活についてもっとリサーチして、買う側も安易なチョイスをしていないか考えたほうがいいんじゃないかな?
千木良:「みんなと一緒」がよくなっちゃうんですかね。
イモカワ:マスコミのせいもあるよね。親子に限らず、生活にもいえることで、なんとなく家具を買っていたら、部屋の中がバラバラ。これでは、計画性も何もなくなってしまう。デザインを愛せないと、生活に対する感覚が鈍ってしまいますから。
千木良:イモカワさんは、どんなデザイナーがお好きなんですか。
イモカワ:アレキサンダー・ジラードです。初めは、アンディ・ウォーホルのキャンベル缶の絵を見て、かっこいい! 部屋に貼りたい! と思って、ポップ・アートに興味を持ちました。ウォーホルの芸術を一般のものにするという考え方にとっても影響を受けましたね。それでキース・ヘリングとかに行って……でも一番はジラードかな。昔の広告グラフィックや、ブラニフ・エアーという飛行機のデザイン、マッチのデザインもやってる人で、このクッションもジラードなんですよ。

イモカワユウさん
見せていただいたクッションは鳥の柄の、思わず「かわいいですねえ!」と叫びたくなるようなものでした。欲しい! こんなかわいいクッションがあったらきっと毎日部屋をばっちり掃除して、おしゃれに過ごしたくなることでしょう。デザインを愛することは、生活を愛すること、というのは真実にちがいありません。
イモカワさん、どうもありがとうございました。
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  イモカワユウさん  
イモカワユウ
1971年生まれ。
1995年よりイラストレーターとして活動。
96年poptune、98年ARTWAD'S 97年、99年Gallery ROCKETにて個展を行う。
現在、デザインとイラストレーションを主に活動中。
 
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  千木良悠子 千木良悠子   1978年東京生まれ、慶応義塾大学卒。作家として小説「猫殺しマギー」(産業編集センター)を出版しているほか女優や映画監督としても活動。現在「おはなし絵本クラブ」にてウェブ絵本を製作中。
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